学長・薬学部長・教授を紹介
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薬学のキーマンに聞く
薬学(創薬)を認めさせるには、誰かが
ノーベル賞を受賞しなければならない
東京大学の柴ア教授は、タミフルの全合成でマスコミでたびたび取り上げられているから、先生の名を知る人は多いだろう。化学分野では不斉触媒の研究者として、とくに多点認識型の不斉触媒研究では第一人者として世界中の研究者に知られている。そして教授の研究業績を知る人は「日本の薬学でもっともノーベル賞に近い人」と評価する。
「日本には医学・薬学からノーベル賞の受賞者が一人も出ていません。日本の薬学研究のために、薬学関係者の中から誰かが受賞できることを願っています」と柴ア教授。教授は薬学研究の火を消さないように頑張り、そのためにはノーベル賞を誰が受賞してもかまわないという。
人と同じことはやりたくないそれが世界的大発見につながった
柴ア教授は「きわめて優秀な人は多くの研究者が競合する領域で成果を残します。でも私は凡人だから、人が手がけていない新領域を研究対象にした」という。しかし、その非凡さは二つの仕事を同時にこなす多点認識型不斉触媒に注目したことだ。柴ア教授が開発した触媒は、二つの反応剤を同時に活性化して、目的の合成を可能にするもの。その方法が画期的だったことは、1995年から10年間の論文引用数は世界一という実績が証明している。
失敗しなければ成功もない学生のヤミ研究は黙認している
画期的な触媒の開発は、学生が劣化(吸湿)した試薬を実験に使用したことがキッカケだった。微量に水分を含んだ試薬が、予想外の触媒効果を生じさせたのである。そのため、正しい手順で実験しても再現できず、原因究明に2ヶ月も要した。
柴ア教授は「私の研究は偶然がもたらした幸運の連続でした。もう一度人生をやり直しても、現在のような成功は得られないでしょう」という。失敗を失敗と思わず、偶然から思いもよらなかった反応が得られる可能性がある。教授の指示に従って実験をする指示待ちでは、大成しない。教授が向かう方向性を理解して、自分で考え実行する実験は黙認しているという。
実験は厳しくプライベートは優しく学生の将来を気にかける柴ア教授
柴ア教授は厳格な研究者のイメージが先行する。しかし学生は「研究については厳しい先生ですが、私たちの将来について真剣に考えてくれる優しい先生です。現在は週2回のセミナーが中心ですが、もっと触れ合う機会があれば嬉しいですね」という。研究室には、柴ア教授の人柄にほれた学生、卒業生、研究員がときおり訪れる。様々な賞の受賞の際は、祝賀会を兼ねた同窓会が開かれるといい、同窓生たちは最高峰にある賞の受賞を心待ちにしている。
また柴ア同窓会ではシンポジウムを開き、自らの最新の研究成果を披露するという。国内外で活躍する弟子の活躍は、教授にとって嬉しいことに違いない。
東京大学薬学部の動きが薬学の将来を左右する
薬学教育6年制の論議の中で、東京大学薬学部が定員の1割を6年制にあてる提案をした。それがニュースとなり、その後の薬学6年制への移行に大きな影響を与えたようだ。東京大学は今後の大学院教育についてはじっくりと対応しようとしている。具体的には、6年制薬学部から他学部の大学院博士課程に進学が可能であれば、薬学研究科博士課程(3年制)への進学も可能ではないかというもの。今後の動向を見守りたい。
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